星空に触れて-97-

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深夜のオフィスはしんと静まり返っている。
闇に閉ざされて、世を忍ぶ恋人達の姿を隠すにはちょうど良かった。

そっと唇を重ねると、上総は優しく迎えてくれた。
くちづけは、何年ぶりにも何十年ぶりにも思えた。
上総の唇は前よりもずっと甘く思えて、ただ触れ合わせただけなのにあっという間に野崎を虜にした。

ぴったりと唇を合わせて吸い付く。
上総の長めの睫がぴくりと震えた。

チュっと少しだけ音を立たせて、唇を離して、可愛い顔を少し見つめて、またくちづける。

背中に回された上総の手に少しだけ力が加わって、野崎を引き寄せた。
上総が自分からくちづけを求めようとしてくれているのが伝わって、野崎は体中が湯だつのを感じた。
上総を抱きしめる腕に、また力が増す。

これまで上総と二人きりで逢えた時間は数えるほどに少なかった。
それなのに、そのたびごとに泣かせていた気がする。
一人で居るときでさえ、どれだけ苦しめてしまったのか分からない。
あの笑顔が愛しい。
いつでも幸せであってほしい。
それを隣で守っていくのは、自分でありたい。

また、チュっと少しだけ音を立たせて、唇を離した。
恥ずかしがり屋の上総が、おずおずと瞼を開くのを待つ。

「上総・・・。いつも想っているから。だから信じて欲しい、上総・・・」
少し頬を赤らめた恋人は、それでも野崎の視線をしっかりと受け止めて、目じりを下げながら微笑んでくれた。
「聡示、さん・・・」
上総は目元を染めながらそっと名前を呼んで、口元を綻ばせて・・・、そしてもう一度微笑んでくれる。
それだけで、十分だった。

「うん・・・」
野崎はそれだけ応えて、もう一度くちづけた。

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