星空に触れて-88-

バイト中も、真島に言われたことがずっと頭から離れなかった。

真島は野崎の友人で、野崎と一緒に時田のことを捕まえようとしている、と言っていた。
真島の言っていることが本当なら、時田のしたことは野崎とは無関係で、野崎はこの家を売らずに済むようにしてくれようと、している。

そんな都合の良い話、あるはずがないよ・・・。

第一、真島が時田の仲間だったらどうなるのか。
この家を買収するように、野崎のことも陥れようとしているのかもしれない。
時田のことだって、捕まえられるか分からない。

だいたい、捕まえるとか・・・、分からないし。

本来そういった策を企てるような思考に慣れていない上総は、考えるだけで頭が痛くなった。

もう野崎のことは忘れて、新しい人生を進もうとしていた。
大学も辞めて働いて、家族3人の穏やかな幸せを守っていくのだと決心した。

何もかも全部忘れて、早く楽になりたいのに・・・。

まだ、灯りを煌々と点けていないと眠ることはできないけれど、ようやく一人になっても泣かないで居られるようになってきた。

それなのに。
どうして、『可能性』なんてちらつかせるのだろう。

『終わるまでは逢えないけど───』
真島の言葉を思い出す。

『声を聞くくらいは許してやろう』
野崎の声を、聞く・・・?
『聡示に文句でも言ってやりなよ』
野崎に何もかも・・・ぶつけてしまえ、と・・・?

自分で直接、野崎に確かめろ・・・?

上総は机の上で充電されている携帯を見つめた。

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