星空に触れて-86-

「聡示も俺も時田も、同じ会社の人間なんだ。時田はずっと悪いことをしている。それを俺達が正義の味方になってやっつけようとしているんだ」
真島はにっこりと笑った。

軽いノリの話し方に、上総は『真島』と名乗ったその人をさらに疑わしく感じた。
悔しいことに見た目も良いので、詐欺師かペテン師かと思案する。

「別に、関係ないです」
もう、あの人とは関係ない。
「関係あるよ。君の家は売らなくて済むかもしれない。」
まじめな声で言う真島に、上総が思わず振り返る。

家を売らないでいいの・・・?

「売らずに済むように、聡示は時田を捕まえようとしている。時田が君の家にしたことに、聡示は絡んでない」
真島は静かに上総に視線をやった。

「聡示にだまされたと思ってるんだろう?」
「だって・・・」
今までのことを繋げて考えれば、100人が100人、そう思うはずだ。

時田と野崎は同じ会社の人間で・・・
その先をいちいち思い出していると、考えるほど嫌になって辟易とする。

「君の家は、お爺さんの姓で登記されている。あいつがずっと気づかないから悪いんだけど───。時田と君のことは、別問題だ」
真島ははっきりと言い切った。
「そんなの、分かりません・・・」

会社とか捕まえるとか、そんな事情なんてどうでもいいし、どういうことなのかまるで分からない。
だいたい、いきなりそういう事を言われても、じゃぁどうしたらいいんだよ・・・。

何が本当で誰が正しいのかなんて、分からないじゃないか・・・。

「もう一つ白状するなら、時田の方が君より後だ。聡示が君を見つけたのはもっと前。あいつがずっと片思いしてたの、知らない?」

上総は俯いたまま、何も言わなかった。
思い出すと泣きたくなる、あの初めてのキスの夜。

『ずっと前から君のことを想っていた。僕のほうを向いてほしいと、ずっと思っていたのに・・・』

せつなく枯れる野崎の声が思い出されて、上総は膝をぐっと抱いた。

目次へ...


Leave a comment

Private :

Comments

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
12 02