星空に触れて-80-

今は側に行ってはならない。

それは、自分に課せられた罰なのだと、野崎は悟った。
愛しい者を一人苦しめてしまったことへの罰。

野崎は呼び出しを止めて、携帯を内ポケットへ戻した。
それに遅れて反応するように、上総が携帯をしまう。

まだ息が整わない上総は、何度も何度も涙を拭い続ける。
肩で息をつきながら、まだその場所に縛り付けられたように蹲っていた。

「───悪かった」
進行方向へ目を向けて、真島が小さく謝罪した。
あんな姿を見せられるとは、野崎も想像していなかった。

沈痛な面持ちのまま、二人は言葉を失って、ただうな垂れる。

「上総は何も知らない」
知らないのだから、今はただ見守っているしかない。

ただ、心から想っていることだけは、それだけは信じていて欲しい。
この心だけは、疑わないでいてくれ・・・。


やがて上総は身体を引きずるようにして立ち上がると、ゆっくりと駅へ向かって歩き出した。

「とっとと片付けるぞ。時田は俺たちが引きずり降ろす」
車を出しながら、真島が低く唸るように告げた。

「再起不能にしてやるさ。その権利は十分にある」
野崎は冷酷な笑みを湛えて、拳を握り締めた。

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