星空に触れて-79-

「おいおい・・・」
驚いた真島が思わず声を漏らした。

しゃくりあげては涙を拭きながら、上総は塀にもたれるように手を付いて体を支える。

「上、総・・・」
震える頼りない背中を目にして、野崎は携帯を握り潰すほどに手に力を込めた。

遠くからでも痛いほどよく分かった。
上総の心が、泣き叫んでいる。
突然背負わされた物を、その小さな肩で精一杯、受け止めようともがいているようにも見えた。

今すぐその体を抱きしめることができたなら・・・。
あの柔らかい頬をそっと撫でて、涙の跡を拭ってやりたい。
ぽろぽろと涙をこぼすその目にキスして、大丈夫だと、伝えてやりたい。


けれど、野崎の心など知らない上総は、さらに泣き崩れた。


「んだよっ、電話に出てお前に文句の一つも言えばいいじゃないかっ」
見ていられなくなった真島が、悔しそうに顔を歪めた。

上総は身に起こっている事の真相を知らない。
今の上総にとって野崎は、家族を苦しめて、夢までも奪った、悲しみを産む存在でしかないのだ
自分が駆け寄ったところで、上総は一層涙を流して心を痛めるに違いない・・・。


「上総っ・・・」
上総はとうとう両手で塀に寄りかかって、ぱったりと膝を折って座り込んでしまった。

行き交う人の目も気にせずに、上総はそのまま泣き続ける。

野崎も真島も言葉が見つからず、その姿をただ見ているしかできなかった。


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