星空に触れて-77-

身体がどう反応していいのか分からないでいる。
振動は続いて、受話器を取るように急かされた。

すぐにポケットにしまえばいい。
知らないふりをしていればいい。

なのに、液晶に表示されたその名前から目が離せない。

なんで・・・、もう苦しめないで・・・。

家族も上総自身も、もう十分翻弄されたというのに。

どこまでも惨めな自分を思って、上総の目から一斉に涙が溢れた。
堰を切ったように流れ出した涙で、すぐに視界が閉ざされる。

どうして こんなことまでするんだろう・・・。
どうして 忘れさせても くれないんだろう・・・。

まるで自分で流した涙に煽られるように、上総は肩を大きく揺らして本格的に泣き始めた。

泣き始めると立っていられなくて、両手で塀にしがみ付く。


いつも優しい声と眼差しを注いでいたのは、最後の最後にこうやって苦しめるためだったのか。
こんな思いをさせてやろうと、あんなに優しく抱きしめていたのか。

これ以上悲しむ方法が分からなくて、上総はとうとう地面に膝を着いて泣き崩れた。


目次へ...


Leave a comment

Private :

Comments

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
12 02