星空に触れて-76-

土日は大学へ行って、就職活動の情報集めをすることにした。

全く予定していなかった進路変更に多少の不安はあったけれど、
就職相談室で事情を話すと、快く協力してもらえることになった。

やはり卒業見込みが無い点がネックになったけれど、
希望は持てると言ってもらえたので、ひとまず安心した。


日曜日のキャンパスは、賑やかな声で溢れている。
自分と同じ学生が、少し遠い存在に感じる。

僕が普通の会社員って、想像できない・・・。

上総はどこかの研究施設か学術機関で、勉強を継続して働きたいと思っていた。
そのつもりで教授ともずっと話しをしいて、具体的な候補もいくつか挙げてくれた。

今までの調子で卒業できれば、それは夢ではなくなるところまで・・・きていたのに。

父さんみたいに、なるんだなぁ。

上総の父親は銀行員で、規則正しい生活をする模範のような人だった。
決まった時間に起きて、いつもと同じルーティーンを繰り返して、静かに眠りにつく。

毎朝、新聞読むのかな。

ふと父親の習慣だった毎朝の情景を思い出しておかしくなる。
今の自分にはそんな姿はとても似合わない。

諦め半分、そんな心持で、上総は門を出て駅へ向かった。


今日もバイト。
あの店にも、あとどれくらい行けるだろう・・・。

蝉の声に塀を見上げながら歩いていると、ポケットがブルブル振動した。

携帯を取り出して、名前の表示に愕然とする。
【野崎聡示】

メールではなく、電話の着信。

なんでっ・・・。

一瞬、呼吸が止まりそうになった。


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