星空に触れて-70-

「柄の悪い連中を連れて行って脅しでも掛けたんだろう。アイツのやりそうなことだ。
上総は自分で何とかしようとしている。今の祖父母にはとうてい経済力は期待できない。
そういう相手を選んでるんだ。事を大きくできないように───」

はじめから勝てそうな住人ばかりを選びぬいて、相手の素行や家庭事情を綿密に調査する。
そして泣き寝入りするしかないところまで追い込んで、したたかに契約を取り付けるのだ。

野崎は身をかがめて膝の上に両肘をついて、手のひらを組み合わせてグッと力を込めると額を押し付けた。

「シュガーちゃんをおめおめ餌食にはさせないさ。そのための俺達だ」
ドンッ、と真島の拳がテーブルを叩いた。

これまでどれだけの人間が時田の餌食になってきたのだろう。
知らない誰かのことなら、どんなに凄惨な出来事だったとしても、
ただの事件としてあっさりと済ますことができる。
それが人間だ。

「今更どうこう出来るわけじゃない。あんまり気に病むなよ」
毒舌気味な真島にはめずらしく、野崎を気遣うような台詞を吐く。

それでも今は違う。
時田が牙を向く先には、上総がいる。

野崎と同じくらいに渋い顔をしたまま、真島は続けた。
「それと、この件が片付くまでは会いに行くのは止めておいた方が良いだろう。
お前は時田に顔が知られている。見張りがいるとも限らない。
・・・あの子のためにも、今はそれしかない」


問題は外部の業者にまで波及している。
一網打尽にするには、少しの抜かりも許されない。
着実に足元を固めていかなければ、あの時田には簡単に出し抜かれてしまう。

「分かってる」
ぐじぐじと腐敗するような思いを吐き捨てるように野崎は言った。

この問題が解決しなければ、何一つ前には進められない。
あの上総の混乱ぶりを考えたら、今はどれだけ言葉を尽くしても分かり合える確証がない。

とにかく時田の件を片付けなければ・・・、弁解の機会を乞うことさえも・・・。
今ごろ一人悩んで心を痛めているだろう恋人のことを想って、野崎はきつく目を閉じた。


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