星空に触れて-61-

後ろ盾を失くしてからは、望んでも良いかどうかを選択する毎日だった。
たったひとつだけ温めて、やっと手に入りかけたのに、もうそれを望んではいけない。

それがこんなにも、こんなにも辛いだなんて・・・。
空っぽになる───。僕には他に、何が残るんだろう。

「ちょっと待って、就職って・・・」
野崎は上総の腕を掴んで、その身体を自分の正面へ向けさせる。

「急にどうしたの?もう卒業まで半年だろう、何か、あった?」
心痛が体中に満ちたような上総の表情を見つけた野崎の顔も、同じように険しくなる。

「星の勉強がしたくて、頑張って大学へ行ったんだろう?あと少しで、夢が叶うんだろう?」

噛んで諭すような言い方に、上総の心が助けを求めるように反応する。
温かいその声に、決別の決心を揺るがされそうで怖い。

「やっぱり、現実的ではないと思うんです。進路を変えるなら早くしないといけないから・・・」

自分で言った言葉に、心がひんやりとする。
手先まで凍ってしまいそうだった。

これでいい。
自分には守らなければ家族がいる。
好き勝手に生きて、あの生活を犠牲にしてしまうなら、そんなものを望みたくはない。

「もう、決めましたから」
上総はそういって、たいしたことでもないような顔を作って見せた。

「君からそんな言葉を聞くなんて。第一、そんな顔をして、 『決めました』 なんて、信じられるわけないよ」
野崎は上総の両腕を掴んだまま目を逸らさなかった。

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