星空に触れて-48-

「そんな・・・」

野崎から注がれる声とその手の温もりに、強張った上総の心がゆっくりと溶かされていった───。

そんな手放しの恋があっていいのだろうか。
心を苦しめるものは何もかも野崎に押し付けて、ただ愛を受けていればいいだなんて・・・。

「逃げないで、いいんだ」
そういうと、野崎は重ね合わせた手をそのまま引き寄せて、上総の身体を抱きしめた。
「─── 好きだ」
耳元に寄せられた野崎の唇から注がれる愛の言葉に、上総は自分が抱きしめられているのだと悟った。


涙が、涙が、溢れてくる───。

野崎の腕の中はとても温かくて、背中に回された長い腕も心地がよかった。
首の辺りに掛かる野崎の吐息でさえ、彼の一部のように思えてしまって愛しい。

こんな思いを、誰も許してはくれない。
男の自分が、同じ男性を好きになってしまった。

こんなに報われない行為なのに、誰も祝福してはくれないというのに、
上総は野崎を想う気持ちを止められない。

僕の気持ちは 走り出してしまった───。

「野崎・・・さんっ・・・」

流れる涙が頬を伝うのを感じながら、上総は少しだけ両腕を伸ばして野崎の背中に回した。
それを感じた野崎の腕が、いっそう強く上総の身体を抱きしめる。

野崎から伝わってくる体温はそのまま上総の身体を満たして、
抱きしめる腕の強さは、くじけそうな上総の心ごと支えてくれた。

「好き、です・・・」

言わなければ、と思った。
あまりにも心細くて苦しくて、そうすることで一番楽になれるような気がした。
野崎が受け止めてくれるなら、野崎も同じ気持ちでいてくれるのなら、いまはそれに縋っていたい。

「やっと、言ってくれた・・・」
野崎は上総を抱きしめたままうっとりと囁いた。

「ありがとう・・・」
鼻先を上総のうなじに擦り付けるようにして、野崎はさらに深く上総の体を抱きしめた。

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