星空に触れて-46-

決して気付いてはいけないと押し込めながらも、
心の底では認めてしまっていた。

いつの間にか野崎に植えつけられて、大きく育てられたその存在を、
上総は自分から大切に守って温めていたのだ。

それは上総をいつも優しく包み込んで、満たされた気持ちにしてくれていたのを、知っていた。

僕は、僕は男なのに・・・。

こんなに絶望的な思いを認めてしまっては、立っていられる自信がなくて、
それが一番怖かった。

普通では、なくなる。

けれど、一番奥から溢れ返った思いに押し崩されて、
とうとう上総の心を覆っていたものは、内側からもろく壊れていった。


この思いは 恋 ───。

野崎のことが、好きだった。

そう認めてしまえば、止め処なく流れ出すものを これ以上堰き止めることはできなかった。

その思いは、もうずっと前から募っていて、それを表すように
上総の目から いくつもいくつも涙が伝っていく───。

僕は、───・・・。

俯いて、必死に両手で顔を覆っていても、肩を震わせて泣いていることは伝わってしまう。
上総が泣きはじめたのをじっと見ていた野崎は、左手を上総の右肩に乗せて少しだけ身を寄せた。

「僕が嫌いじゃ、ないだろう?」

深くて優しい声は、上総の心を労うように降ってくる。
肩に置かれた手のひらは、あふれてくる苦しい思いを吸い取ってくれるように温かい。

嫌いなはずがなかった。

いつも優しくて、大人の余裕で包んでくれる野崎のことが、こんなにも好きになっていた。
今日初めてこんなに長い時間を一緒に過ごして、
気持ちはこれまで以上に野崎に釘付けにされているというのに。


「でも僕は・・・」
まだ涙の余韻が残る声で、上総は何とか言葉にした。

僕は、男なのに・・・。
こんなことは、許されない。

野崎がそっと上総の右手にハンカチを握らせた。
「涙を拭いて」
そう言って肩に乗せた手でそっと上総の頭を撫でる。
その感触に、混乱する上総の心は少しずつ静かになっていく。

上総はハンカチで涙をぬぐいながら、けれど、進むことも後戻りすることも赦されない
絶壁の上に取り残されたような感覚を、噛み締めていた。

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