星空に触れて-38-

ふと時計を見ると、9時半を回ったところだった。

「時間が気になる?」
目聡く見つけた野崎が聞いてくる。

「いえ、早いなって思ったんです。」
車で移動したのは15分くらいだった。
楽しい時間早く過ぎるものなんだと、ぼんやりと考える。

「本当だね。今日がもう一日あればいいのに」
心底残念そうに野崎が言うので、上総はつい笑ってしまった。

「もう1日あったら、どうするんですか?」
「うーん。ここで1日、君とご飯食べていたいかな」
「僕ぷくぷくになっちゃいますよ」
可笑しくて、おなかの辺りを押さえながら言うと、
「介抱してあげるさ、心配ないよ」
そう言って野崎はテーブルに片肘をついて、うっとりと上総を見つめた。

絵になるなぁ、と思った。
上等そうなスーツをさらりと着こなして、その姿は同じ男の上総が見ても、格好が良いと思う。
考えて見れば、『ハンサムさん』という名前を付けたほどなのだから、はじめから分かっていたはずなのに。

「うん?」
ぼんやりと野崎を見つめてしまった上総に、野崎はどうしたのか尋ねてくる。
「格好いいな、って思いました」
上総は思わずぽろりと言ってしまった。
言ってしまった後で、急速にぼわっと顔が火照りはじめる。

「ありがとう。オメカシして来て正解だった」
野崎はスーツの襟を正すような仕草をして、小さく笑った。
いつもみたいに、からかうようなことを言って困らせてくると思っていたのに、肩透かしを食らってしまう。
もしかして気を遣ってくれているのか、そんなことが思い浮かぶ。

「『ハンサムさん』にして正解でした」
少し照れながら正直に白状すると、
「でも今は野崎さん」
そう言って、人差し指をぴっと立てられた。

「はい、野崎さん」
上総は素直にそう返事をした。
「その笑顔が、一番いい」
野崎も楽しそうに優しく笑った。

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Posted at 2009.05.26 (18:57) by () | [編集]
>秘コメのMさま
おほっ! コメントありがとうございます!>▽<
> デートシーンにはまって
上総がまだそれとは気づかぬ 『初デート』 。 大きな展開を迎える夜。わたくしも好きです☆
>野崎さんに私がうっとりです!
いけません、野崎に捕まっては・・・ 貴女様も食べられてしまうかもしれません!(笑w)
>目の前に余裕のお姿が浮かびます。いいですよねぇ。大人の余裕。
野崎としては、どうしても上総に気に入って欲しい一幕ですからね~。何がなんでも 『カッコいい』 を全面的に押し出すつもりのはずです!・・・上総の魅力に呆けているだけなのかしら?!
(でもピュアな上総はそんな事には気づかない・・・ぷぷぷ)
>基本上総ちゃんの気持ちを大切にしてますものね。そのぅ、多少の誘導はあるけど。
おお、すばらしい。『基本』 という言葉が妙技です。(笑w)
そうなんですよね、認めながらも 自分の思惑へと誘導する・・・・ 大人ってなんてズルイんだw

コメント頂けるととっても嬉しいです!
こんな感想を持ってもらえるんだなぁとしみじみ感じ入ります。
またのお越しを、お待ちしておりますm(・ー・)m
Posted at 2009.05.26 (20:53) by 冬実 (URL) | [編集]
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