星空に触れて-30-

「ひ・・・ひみつ?」
上総は意味も無くどきどきしてしまって、おずおずとハンサムさんと目を合わせた。

「本当の名前。野崎聡示っていうんだ」
渡された紙には、 『野崎聡示』 という名前と、携帯の番号と、メールアドレスが書かれていた。

「のざき・・・、そうじさん・・・?」
上総が読みながら確認すると
「そう。ほら、書いてみて」
そういって、ハンサムさんは右手の人差し指でテーブルに自分の名前を書いて見せた。

「え、と・・・」
上総は言われたとおりに、テーブルにその名前を書いていった。

「君の名前を教えてもらったときも、こうやって書いたのを覚えてる?」
ハンサムさんはその時の記憶をたどるように、上総の様子をじっと見つめた。

「そう、ですね・・・」
上総は、ハンサムさんの眼差しに惑わされないように、名前を書く指先に集中した。
この人と話していると、ほっとしたり落ち着かなかったりで、なんだか本当に・・・忙しい。

「秘密、だよ」
念を押すようにゆっくりと言って、ハンサムさんは名前を書き終えた上総の手に自分の手を重ねた。

「っ?!えっとっ、あのっっ・・・」
戸惑ってばかりの上総の反応がおもしろいのか、ハンサムさんがクスリと笑って手を離す。

「8時に迎えに来るよ。ドタキャンはなし、ね」
そういって、野崎は何事も無かったかのようにご機嫌な様子でコーヒーを飲み始めた。

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