今夜、資料室で-20-

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外食で夕食を済ませた2人は甲斐の自宅へ向かった。
風呂から上がった真島は先に済ませて待っていた甲斐によって、またもパジャマへの着せ替えをされてしまい髪を乾かされていた。
「裕紀は一人じゃ何もできないのか・・・。本当に可愛いな・・・」
「・・・本気で怒りますよ」
目を瞑ったまま大きな洗面の前に立って、真島は後ろからドライヤーを当てている甲斐の腿をタオルで叩いた。
「今日の裕紀は反抗的だな」
「・・・明日から全部自分でやりますから」
「そんな事を言わずに、素直に甘えていたらいい」
「嫌です」
「これは裕紀の義務だ」
「ハァぁー・・・」
・・・・もういい。

ドライヤーの音が止んで、乾いた髪がブラッシングされる。
「・・・甲斐さん」
「ん?」
「・・・穂波ちゃんが言ってた仕事の事、聞きたいんだ」
一瞬だけ甲斐の手が止まって、鏡越しに目が向けられる。
「・・・どうした?」
2,3度髪を梳いあと、甲斐はブラシを戻して真島の手を引いて寝室へ向かった。
「やっぱり気になるだろ。あんな事されたらさ・・・」
手を引かれて歩きながら、真島はあの荒れ果てた部屋の様子を思い浮かべていた。
「君は私の仕事に関係していると思うのか・・・?」
甲斐は声だけで真島を振り返った。
「・・・まだ分からない。甲斐さんは?」
先にベッドに乗り上げた甲斐がピローに背を凭せ掛けて座り、後からきた真島の腕を引く。
その甲斐の胸に真島が背を預けて、いつものように抱え込まれた。
「正直なところ私も分からない。直接的な被害を受けたわけではないからね」
左腕を真島の体に巻きつけて、甲斐は右手の甲で真島の頬を撫でていく。
その愛猫を愛でるような仕草は甲斐のお気に入りで、2人の間にすっかり定着してしまった。
真島は特に反抗もせず、大人しくされるがままに身を預ける。

「俺も・・・そうなんだ」
資料室、法務の一部の人間にしか開けられない扉。
真島と甲斐を強く結びつける物ではあっても、お互いに実害は無かった。
「後始末はえらく面倒だったけどさ、俺は何とも無いんだよ」
「んー・・・」
甲斐も思案のしようが無いといった様子で大きく息を吐いた。
「ねぇ、穂波ちゃんてどんな子?」
真島の言葉を聞いた甲斐がピローからガバッと背を起こした。
「なんだ、裕紀は彼女みたいな子がタイプなのか?」
クスクスと肩の辺りで笑われるのがくすぐったくて、少しだけ身を捩って引き離す。
「ちがうって・・・。そうじゃなくてさ、何で俺に教えてくれたんだろ」
「どういう意味だ?」
「そりゃ・・・甲斐さんに惚れてたっていうのは分かるけど、資料室に出入りしてる噂が立ったくらいで、何も忠告なんてしなくて良かったのかも・・・」
「裕紀はヤキモチを焼いてるのか?」
真島の肩に顎を乗せた甲斐が嬉しそうに囁き掛けてくる。
「・・・ちがうって」
穂波ちゃんがこの人に気があったなんて事は驚きだったけどさ・・・
「なんだ、焼いてくれないのか?」
「・・・面倒くさいなぁ」
「スネてても可愛いな・・・」
まろやかな声で言いながら、甲斐は真島の首筋に唇を押し当てた。
「もう・・・・・・頼むから、聞いてくれませんかね」
「すまない、悪かった」
本当にそう思っているのか、甲斐の声には笑みが混じっている。

「甲斐さんがでかい仕事をしようとしてて、俺とこんな事になって資料室に出入りして、確かに注意をする事に越したことはないけどさ」
「ただの善意じゃないのか?」
今度はマジメな声になった甲斐が応える。
「だってさ、俺は甲斐さんの仕事上には何のメリットも与えないよ。俺との事を妬んでるんだったら、何も新しい仕事の邪魔をするよりプライベートで何かした方が手っ取り早いと思う。そういう事する奴の方だって、下手したら会社に居られなくなるかもしれないだろ?」
「んー」
甲斐は両手で真島の体を抱きしめて、少しだけ腕に力を込めた。その腕に、真島の両手が重なる。
「何かさ・・・ あんな風に言われると、今から何か起こるから注意しろてって、言われてる気がするんだ」
「何か起こる?」
少しだけ甲斐の声が鋭くなった。
「穂波ちゃんは俺に、何もなければいいって言ったんだ・・・」
「やっぱり彼女なりの善意じゃないのか?」
真島の体をぐっと引き寄せて、甲斐は真島のこめかみ辺りに頬を摺り寄せた。
「じゃぁ何で甲斐さんに言わなかったんだよ?」
「彼女は何て言ったんだ」
「・・・甲斐さんが俺には言わないだろうってさ」
「なら、そうなんじゃないのか?」
「それでも普通こういう時は・・・惚れてた男の方を・・・先に、助けようとするんじゃないのかよ・・・」
「またヤキモチか。本当に裕紀は可愛いな・・・」
都合の良い様に履き違えながら、また甲斐は声を綻ばせる。
「うるさいな・・・もういいよ・・・。俺は甲斐さんの仕事の事が聞きたいんです」
一人だけ良い調子になっている甲斐を溜め息でかわして、真島は甲斐の手を軽くつねった。

「新規の仕事じゃない。引継ぎだ」
「引継ぎ・・・?」
真島はほんの少しだけ体を後ろへ向けた。
「来月退職する上司がいる。その上司が持っていた仕事なんだが・・・これが中々骨が折れる。だが会社の核になる仕事なのは確かだ。それを担当する事になれば、将来有望というわけだ」
「へぇ・・・そうなんだ・・・」
確かに、既に誰かが均して育てあげた物を貰うだけなら、こんなに良い話は無い。
ましてやそれが将来有望になる仕事なら、普段は出ない出世の欲が沸々を芽を出すのも当然かもしれない。
「別に私はそれがもらえても嬉しくはない」
「何でさ。将来有望なのに?」
こんな好機なのに、甲斐が吐いて捨てるような言い方をしたのが真島には分からない。
「方々に太いパイプが出来るというのは雁字搦めにされてしまうのと同じ事だ」
「仕事ならちょっとくらい仕方ないだろ?それに・・・自分の代になれば、やり方変えたら良いんじゃないの?」
「他人が何年も掛けて作ったものだ。そう簡単に変えられるような物じゃない。・・・そういう仕事なんだ」
「ふーん・・・俺にはわかんないけど。それでその仕事、甲斐さんがやる事になった?」
「まだ決まってないんだ。内々での通知もない。誰に引き継ぐかは・・・その上司が決める」
「決まってないのか・・・」
真島は甲斐から得た情報を忘れないように頭の中で繰り返しながら、1つ1つ丁寧にしまい込んだ。


「裕紀、そんな事より・・・」
甲斐が手元のリモコンで寝室の照明を落とした。
途端に部屋は闇に覆われて、ベッド脇の淡い間接照明だけがぼんやりと辺りを照らし出す。
「え、」
「私は確かに抱かないとは言ったが・・・・・・ 何もしないとも、言ってない」
そう言って、甲斐はいつの間に用意したのか、見るからに上等な絹の布地を手にしていた。
「・・・何・・だよ」
背中に感じる甲斐の気配が急速に色味を帯びて、真島も思わず体が強張った。
真島の前に両手を出して、甲斐はその布地を広げてみせる。
「裕紀に似合う色を随分探したんだ・・・。やはり色っぽい裕紀にはこの色が一番似合う・・・」
広げられた紅藤色の絹地は、真島の目の前で艶々と光を放った。
「あんなに裕紀が残念がるなら・・・ 私も期待に応えなくてはいけないと思って・・・」
耳元へ寄せられた唇から伝わる声も、真島の芯を蕩かすものに変わっていく。
甲斐はその布の端を対角線に持って、くるくると巻き上げた。
「ちょっ」
布地を全て巻き取って棒状にされたそれは、柔らかく上質な肌触りで真島の視界を覆った。
少しだけ力が込められて、後ろの方へ結び目が作られる。
「なに、するんだよ・・・」
「今更 照れなくても良いじゃないか・・・。目隠しは・・・ 初めてじゃないだろう・・・裕紀?」
湿り気を帯び始めた熱っぽい声で囁きながら、甲斐は真島の頬を指先でツッと撫でた。
真島の体がピクリと揺れて、肩を竦めながら顔が伏せられる。
「・・・んな声で、呼ぶな・・・って」
目の前に現れたうなじに唇を寄せて、甲斐は静かに真島のパジャマのボタンを外し始めた。
「裕紀・・・」
柔らかく吸い上げながら 時折 舌先で撫で上げて、小さく息を詰まらせる真島の反応を愉しむ。
焦らすようにゆっくりと時間を掛けて、やがて最後のボタンが外された。
淡い照明の中に、美しい真島の上半身が露になる。

「何て・・・奇麗なんだ、裕紀・・・」
甲斐は感嘆の溜め息を零しながら、白磁のような艶を見せ付ける真島の体を抱き寄せた。
「本当に・・・ 本当に、美しい・・・」
両腕でぎゅぅと体を抱きしめて、甲斐は真島の肩口にくちづけた。
「・・・っ」
真島の口から小さな吐息が零れる。

「私だけを、感じていればいい・・・」
甲斐は真島の耳朶に吸い付きながら、回した両腕をゆっくり解いて、その滑らかな肌に手のひらを這わせた。
初めて目にした真島の裸体はただ細いだけでなく、張りのある筋肉に薄く覆われて心躍らされるほどに見事だった。
「裕紀・・・」
口の中に耳朶を含んで感触を味わいながら、甲斐は肩口から腹へ向かってゆっくりと両の手のひらを下ろしていった。
僅かな筋肉のふくらみも骨の感触も逃さないように、全ての神経をそこへ集めて真島の肌を感じ取る。
「・・・ッぁ」
微かに柔らかく感じる胸の上を掠めた時、真島がほんのりと色づいた声を上げた。
「・・・ここが・・・、イイのか?」
手のひらで小さな突起の在り処を見つけて、ゆるゆると辺りを撫でまわす。
少しずつ感触は硬く実っていって、その度に甲斐を悦ばせた。
「・・・ンっ」
真島は甲斐の胸に擦り付けるように背中をしならせて、薄く開いた唇の合わせ目から浅く不規則な息を続ける。
甲斐の手の動きに合わせるように胸が突き出されて、真島が淡い波に呑まれ始めた事を知らされる。
「いい子だ・・・」
甲斐は真島の体を横たえて自らも全て服を脱ぎ捨てた。
真島の下衣も全て剥ぎ取って、甲斐はまた、真島の姿に目を奪われた。
「本当に・・・何て奇麗なんだ・・・裕紀」
どこを切り出してもうっとりとするほど美しく、真島の体はこれ以上無い完璧な稜線を描き出していた。
それは髪の先から足のつま先までなめらかで、甲斐の心を一瞬で浚って行った。
「・・・そんな・・・目で、見るな・・・・」
視界を覆われていても甲斐の視線を感じてしまう真島は、尚も腕を目元にかざして視界を遮ろうとする。
「これほどの姿に 目を奪われずにはいられないだろう・・・。 そんなイジワルを言うんじゃない」
甲斐は真島の肩に両手を置いて、その肌をたどるように下ろしていった。

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区切りが悪くてすみません・・・(汗、明日までお付き合いくださいませ。

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