今夜、資料室で-13-

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ほんの一瞬のことだった。

唇が触れたのと同時に両腕を取られて甲斐の首へ巻きつけられる。
背を支えながら 持ち上げるように腰を引き寄せられて、踵が浮いたところへ 足の間に腿をねじ込まれて 膝を割らされた。
頭一つ分は身長差がある真島では、めいっぱい背を反らすことになってしまって、まるで 甲斐の腿の上に 座らせられる格好になってしまう。

何・・・、なんだよ・・・

終業後の資料室で何度か交わした、深くてそれでも穏やかな、甲斐の人間性そのままの いつものキスなんだと思っていた真島は、驚きの余り目を開けてしまいそうになった。
最初から息を荒げて湿った熱をたっぷりと吹き込みながら、まるで喰いかかるように吸い付かれる。
背を支えている左腕も腰を抱え上げている右腕も、まったく力の加減がされていない。

(まずいって・・・)
「っンッ・・・ぅッ・・・」
動揺して思わず唇が開いたのを見逃さなかった甲斐の舌が 十分な厚みを持って入り込んできて、体と同じく緊張してしまっている真島の舌を 直ぐに探り当てた。
裏側からヌルヌルと擦り合わされて巻き取られながら、あっという間に甲斐の口内へ呼び込まれてしまう。
(こんな・・・熱いの・・・ おかしいだろっ)
「・・・ンぅッ・・・ぅくッ・・・ッウぅっ・・・」
吸い上げてくる甲斐の口内の粘膜も 絡められる舌の根の方も、思わず腰が引けてしまうほどに熱く滾っていた。
まるで 発熱で茹だる苦しみを 真島の舌で和らげようとするかのように、甲斐の舌は 吸い上げた真島の舌をそこらじゅうの粘膜に擦り付けていく。
(んとに・・・っ・・・ 何、なんだよ・・・)
「・・・ぅくッ・・・っんぅッ・・・ぅんぅっ・・・」
ジンジンと痛むほどに吸い上げながら また舐めほぐされて、熱を分け与えるように 奥まで呼び込まれていく。
舌をせがまれる度に出来てしまう小さな隙間を、甲斐は唇の腹ですぐさま埋めながら 求め続けた。
ぬめる淫靡な行為を続けている所為か、甲斐の熱さの所為なのか、真島と甲斐の口内は合わせ目から溶け出した。
(ホントに・・・っ・・・マズイって・・・)
「・・・ぅくッ・・・っんぅッ・・・ぅっふぅ・・・」
甲斐の足の上へ引き上げられている所為で、どちらかの身体が微かに身じろぎをしただけでも 真島のそこへ妖しい振動が与えられてしまって、ただでさえ苦しい息が ますます慌しくなっていく。
もう新しい息が切れ切れにしか吸い込めないのに、それでも甲斐は執拗に吐息を送り続けて翻弄する。

冷静さの欠片も無い甲斐の勢いに戸惑っていながらも、真島の身体はそんなキスに酔わされていった。
甲斐は約束どおりキスしかしていない。
触れることは一切せずただ真島の身体を強く抱きしめて、
いつもより荒くて、なぜか切なく感じるキスを・・・ しているだけ。

(何で・・・こんなっ・・)
「・・・んうぅっ・・・ッくっ・・・ふぅッ・・・」
首を後ろへ折ったまま 深く求め続けらている所為で、真島の額には 汗の粒がいくつも生まれた。
やがてぼうっと意識が霞みはじめて、真島の腕の力が抜けようとしたとき。

おい・・っ、 ちょっと待てよ・・・

甲斐は、真島の身体を支えたまま床に押し倒して 乗り上げて来た。
だらりと落ちた真島の両手に 自らの手のひらを重ね合わせて、そのままくちづけを続ける。
(もう・・・待てって・・・これじゃ・・・)
「・・・うぅんッ・・・っふぅッ・・・ぅっくっ・・・」
すっかりだるくなった舌は 尚も甲斐の口内で甘噛みされながら、ピリピリと痺れを感じるほど弄られ続ける。
何度も表面を擦り合わせながら くすぐられる感触は、戯れのようで甘えられているようで、淡い吐息を誘われた。
(なんで・・・もうっ・・・)
「・・・ッくぅ・・・っんっつ・・・ぅふぅっ・・・」
ようやく舌が解放されたかと思うと 今度は甲斐の舌がやってきて、柔らかい粘膜を舐め上げていく。
不意打ちのように 頬の内側をでろりと撫でられると、体じゅうに鳥肌が立って 思わずその動きを追ってしまう。
まともな思考もできなくなった 白くぼやけた頭の片隅で、真島は決して嫌がってはいない 自分の変化に気づき始めようとしていた。
(もう・・・ホントにっ・・・)
「・・・ふッぅ・・・んっくッ・・・うぅっ・・・」
真島が僅かに顔をずらそうとすると、甲斐の舌の動きが急に柔らかくなって、まるで性急に求め続けたことを詫びるように、やわやわと優しく刺激してくる。
上顎の敏感な場所をたどるようにくすぐりながら、唇の上までをゆっくりと舐め上げて、しっとりと啄ばむキスを繰り返す。
送り続けられる甲斐の蜜を飲み下して その熱を受け止めながら、真島は甲斐の想いまでも感じ取っていた。

だからって 一体どうしろって言うんだよ・・・
どうしようも、 無いだろう・・・

やがて くちゅっと音を立てて真島の唇を解放した甲斐は、そのまま顔をずらして真島の肩に額を乗せた。

「・・・すまない・・・」
『許してくれ』 と続けて、甲斐は真島の肩に甘えるように額を擦り付けた。
真島も甲斐も、すっかり息が上がっている。
「・・・何なんだよ・・・」
結び合わせていた手のひらも解放して、甲斐はそのまま真島の背に腕を差し込んで抱きしめた。
困惑気味に文句を言った真島をあやすように、回した手でポンポンと背を叩く。
「・・・一度だけだ、もうしない・・・」
甲斐は真島の身体を抱えたまま起き上がって、バスルームの方を向かせた。
「・・・着替えを出しておくから、シャワーを浴びたらいい」
聞きなれた落ち着いた声に背中で頷いて、真島はバスルームへ入っていった。


シャワーで身を清めながら、真島はまた困惑していた。
「あんなの・・・キスじゃないだろう・・・」
未だかつてあれほど誰かを求めた事も無かったし、誰かに求められた事も無い。
まるで・・・情交だった。
それを、自分の身体は最後まで嫌がっては居なかった。
「何でだよ・・・」
未だに脳は甲斐を拒否していて目を合わせる事は絶対にできない。
それでも真島の心と身体は、もう甲斐を許し始めているのだ。
「どうしろって言うんだよ・・・」
そしてそれを・・・ あのキスで、甲斐も感じたに違い無かった。
「どうしようも・・・ ないだろう・・・」
頭を飛沫に突っ込んで、真島は大きな溜め息も一緒に洗い流した。


バスルームを出た真島は用意されている下着に着替えながら、異変に気が付いた。
「あれ・・・」
いつもは置いてあるはずの他の着替えが無い。
髪を乾かしてリビングへ戻ると、奥で甲斐が手招きをする。
「着せてあげよう・・・」
「は?」
「好きな子の世話を焼くのが好きなんだ」
「・・・俺は自分でやるに決まってるじゃないですか」
目を瞑って半分呆れ気味に言った真島の後ろへそそくさと回って、甲斐はシャツを羽織らせた。
勝手に腕を持ち上げて、袖を通させる。
「カンベンしてください」
「君をここへ連れて帰ったご褒美をくれ」
「・・・一体どういう趣味ですか」
連れ帰ってもらった事を言われてしまうと言葉が返せず、真島は目を瞑ったまま黙って着せ替え人形に甘んじた。
目の前に回った甲斐がシャツのボタンを留めていく。
「役得だ」
声まで微笑みながら、甲斐は真島に靴下を履かせ、ネクタイを締め、スーツを着せていった。
「君は・・・ 奇麗だな」
出来上がった真島の姿をまじまじと眺めながら、甲斐はほぅっと溜め息をついた。
「・・・そろそろ目を開けたいんですけどね」
真島の言葉が出ると同時に甲斐は真島の脇へ消えていた。
「今日は良い1日になりそうだ」
心底嬉しそうに言った甲斐が真島に鞄を持たせる。
「・・・別にいつもどおりだと思いますけど」
真島は甲斐を置いて急いで玄関へ向かった。

甲斐は・・・気が付いている。

玄関で靴を履きながら、真島は後ろに感じる甲斐の気配に向かって声を掛けた。
「・・・俺は、あなたの気持ちには・・・」
「もう君の言葉は当てにしない」
「え・・・?」
横に並んだ甲斐が靴を履きながら応える。
「君には側に居る人間が必要だ。私の気持ちは変わらない」
「迷惑です」

「本当に・・・そうだろうか?」
穏やかに、少しだけ笑みを含ませて言いながら、甲斐は真島の手を取って玄関を出た。

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Posted at 2009.06.11 (23:32) by () | [編集]
>秘コメのMさま
おお!コメントありがとうございます☆
> 甲斐さんかっ身体で口説いてるし!!
おそらく甲斐さん、この1回に賭けたと思われますw 真島の心が・・・ フフフ
>真島さんお人形プレイで着せ替え人形状態!!
この2人、なぜか・・・ ○○プレイ 的な事をやってしまって・・・。しかし美人真島の目隠しは・・・良いかもです(おい
>野崎さ~ん!
野崎もそろそろ駆ける予定です☆ でもその時はちょっと・・・・

すみません。。。
このお話を書いてたら指と脳が息切れしてて、お返事が遅くなってですね・・・。
ほんとに、息切れは・・・・・・ この2人でなく、実は冬実です(汗
ご訪問ありがとうございました☆
Posted at 2009.06.12 (00:01) by 冬実 (URL) | [編集]
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