シャワーの秘密(野崎)

インターホンのモニターに上総が映った事を確認して、野崎はバスタブへ貯めていたお湯を止めた。
リビングのテレビを消して玄関へ向かう。
「聡示さん」
「お帰り上総」

ドアを開けた所で目が合って、柔らかく微笑みながら名前を呼んでくれる。
笑顔のままでパタパタと小走りで近づいてくる上総。かわいい。

「おいで」
それでもあと1歩のところで いつもぴたりと止まってしまって じっと見上げてくる。
その姿はたまらなく可愛いくて、
それでも いつか その1歩への躊躇いが無くなって欲しいと思いながら、腕を広げて待っている。

「上総、シャワー浴びよう」

まずは他の人間が触れた痕跡を消してしまわなければ。

「え・・・?」

今日も届けれた上総の行動記録。

上総には珍しく、バイト先の駅まで友人らしい人間と一緒に向かっている姿が撮られていた。
二人はそれは楽しそうに話している様子だったのだが・・・。

肩を抱かれていた。いや、あんなのは抱いているうちには入れてやらない。
組んでいただけ。組んでいいのか?上総の肩を、自分以外の男が? ありえないだろう。
髪まで梳いていた。いや、あんなのは梳いているうちには入れてやらない。
かすった程度だ。触れていいのか?上総の髪を、自分以外の男が? ありえないだろう。
背中の辺りに腕を回して、少し上から上総の顔を嬉しそうに見下ろしていた。
 おいおい・・・その角度は一番可愛いんだ。二度と見るんじゃない。

こんな事が毎日大学で繰り広げられているとは・・・・・・ 何ておぞましい事だ。

「上総?」

そんな形跡は一刻も早く排水溝へ流し去ってしまわなければならないと言うのに
可愛い恋人はいつも小さな抵抗を見せる。

「僕とシャワー入るの、嫌じゃないよね・・・?」

早く、上総。
汚れがあちこち付いてるんだ。

「嫌じゃ、ないです・・・」

その顔も可愛いんだけど・・・ 早く。

「何もしない、約束する」

我慢できたらだけど。

「あの・・・・・・ どうしていつもシャワーに入るんですか?」

ほぅ・・・?
この一刻の猶予もならない時に、そういう事を聞くワケね。


フフッ・・・
・・・・・・ チャーンス。


「バスローブが着たいんだ」

「バスローブ・・・?」

バスローブほどすばらしいものは無い。

「二人きりで居る時は・・・ 全部 上総とオソロイがいい。別々なんて寂しい・・・ 」

二人そろってたった一枚だけ羽織られた下には一糸纏わぬ姿・・・。
バスローブは恋人達の必須アイテム。

「ぇっ・・・」

すぐ側で身を寄せれば温かい体温を感じるあのドキドキ感。
ひらひらと動く裾から見える、スルリとした生足・・・。
いつも見下ろしている角度から、ふとした拍子にチラリと奥が覗き見える胸の合わせ目・・・。

・・・・・・すばらしい。

「1日中ずっと上総と離れ離れなのに、いつもほんの少ししか逢えないくて・・・・・・
 せめて二人で居るときは、何でも全部同じにして、ずっと 上総と同じ気分でいたい・・・・・・」

ベッドで愛し合った後に二人でシャワーを浴びて、おそろいのバスローブを羽織りながら・・・
甘い余韻に包まれて、力の入らない体をしっとり預けてくる上総の姿・・・。

あぁ、マズイ・・・。
ちょっとだけ、キスね。

「聡示さん・・・」

だから、早く、上総。

「なんでも全部 上総と一緒じゃないとイヤなんだ・・・。僕、おかしいのかな・・・?
 上総は・・・ 僕と何でもオソロイにするのは・・・ イヤ・・・・・・?」

そんなすばらしいバスローブ。
早くシャワーできれいになって、二人で一緒にドキドキしよう。

「イヤじゃないです。僕も・・・ 聡示さんとオソロイは 好きです・・・」
「ありがとう上総・・・ 愛してる」

あぁ・・・本当にかわいい。
もうこれで・・・ シャワーを断る理由は無くなったよね・・・。

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Comments

>拍手コメのmさま
拍手コメントありがとうございました!
「チャーンス」 は、野崎が対上総篭絡作戦中に、よく心の中で発している言葉です(笑w
実は野崎は、シャワーと一緒にバスローブも断れないようにしてしまえ、と画策したわけですね(伝わりましたでしょうか・・・ww
コメント嬉しかったです☆ありがとうございます!
また、何か野崎に頑張らせます(笑w
Posted at 2009.06.11 (16:20) by 冬実 (URL) | [編集]
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