天の川のむこう-おまけ-

週が開けた金曜日の野崎のマンション。
野崎と上総は久しぶりに穏やかな逢瀬を楽しんでいた。

「それで?今日は?」
いつものリビング、いつものソファー。
おきまりの場所で二人は肩を寄せていた。

あの事件の後、野崎は一度だけ上総をオフィスに招いた。
その後の高居の状況を知らせるという名目ではあったものの、野崎がいる目の前で上総は真島と藤堂から嫌と言うほどお小言をもらっていた。
そもそも携帯を人に簡単に渡すのはどう考えてもおかしいだとか、いくら仲のいい人間だからといって無条件に信用していては良い様に騙されてしまうのも仕方が無いだとか、身に覚えがあり過ぎるだろう上総は終始頷きながら、ただただ素直に二人の言葉に耳を傾けていた。

野崎と真島と藤堂が八方手を尽くして助け出していなければ、上総の身は今頃どうなっていたか分からない。
こんな間違いが二度と起こらない為にもこれからは決して嘘などつかず、言いつけは必ず守るようにと、野崎は繰り返し言い聞かせたのだった。

「今日はいつもどおり講義が終わって・・・」
「その後は?」

そして高居が大学へやって来た事がとにかく気に食わなかった野崎は、1日の出来事を上総の口から説明させるという約束を取り付けた。
会話の流れ上、上総に 『否』 と言える権限が無いことを承知の上で。
そしてそれは毎日欠かさず電話をする日課に繋がり、逢える日はこうやって身を寄せながら話をすることになったの、だが・・・・・・。

「友達が、週末プールに行こうって」
「・・・友達?・・・プール?」
野崎のこめかみがピクピク反応する。
「あの・・・ただの大学の友達です・・・。ほんとに、ただの・・・」
「ただの 友達、ねぇ・・・」
また”お友達”か。
しかも今度は・・・
「プールって?」
それはどう考えても良くないだろう。
「屋内なんですけどすごく大きいのができて、楽しそうだから行こうって・・・言われて・・・」
「ふーん・・・」
野崎は涼しい顔をしたまま上総の肩に回した手で髪に指を滑らせた。
その先の言葉を促すように優しく髪を梳き続ける。
「去年までは夏は毎年海に誘ってくれていたんです。でも・・・僕バイトがあって断ってて・・・」
盛りのついた野郎共と夏の海。
毎年?
アウトだ。
「夏はバイト忙しくなるからね。マスター手伝ってあげないと」
野崎は優しい笑顔を向けた。
断ってきたのは正解。
「今年は最後だから・・・行っても良いかなって、思ったんですけど・・・」
おいおい・・・・・・
「・・・それで?」
「僕、断りました」
そうそう、それが正しい。
「まだ・・・ 痕も・・・残ってるし」
上総がチラリとこちらを見て目を伏せる。
「・・・・・・あぁ、・・・キスマーク?」
野崎の言葉に上総は小さく頷いた。
気にするのはそこなのか・・・。


「痕が残ってなかったら、上総は行くの・・・?」
「今年が最後だし、良いかなって思ったんですけど・・・」
「僕を 置いて・・・行くの・・・?」
「置いて行くなんて、そんな・・・っ」
「僕は毎日逢えないのに・・・ 毎日逢えなくて、いつも・・・寂しいのに・・・」
「聡示さん・・・」
「せっかく・・・ やっと一緒に居られる貴重な週末も、上総は僕を置いて・・・どこかへ行ってしまうんだ・・・」
「聡示さん・・・、あのっ・・・」
「キスマークさえなければ・・・ 遊びに行けたんだよね・・・。それでまた僕は・・・一人きりだった、のかな・・・」
「そんな、聡示さんっ・・・」
「少しも上総に触れられないまま・・・ また1週間待って・・・ ずっと一人ぼっちで・・・寂しい思いをするんだ・・・」
「聡示さん、そんなこと無いです・・・!」
「キスマークなんていつか消えてしまう・・・。それが消えたら・・・僕は・・・上総を想いながら一人で・・・」
「聡示さんは一人になんてなりませんっ・・・!」

「でも・・・ 」
「僕聡示さんと一緒に居ます、聡示さん一人で・・・寂しい思いするなんて、そんなの僕も嫌です・・・っ!」
「友達はきっとまた誘ってくるよ・・・ 僕がまた1週間一人ぼっちで・・・辛いのを我慢すれば良いんだよね・・・」
「そんなの駄目です、僕ずっと一緒に居ますっ」
「本当・・・?」
「本当です」
「でも・・・お友達は?」
「大学で会えますから。・・・僕だって一人は寂しいです・・・ 僕だって聡示さんと居たいです・・・」
「ありがとう上総・・・ 愛してる・・・」


(最後には必ず折れるのが上総)
(そういう風に仕向けるのが野崎)





沢山の拍手コメントありがとうございました!
野崎&上総の新シリーズ、ラブラブな後日談、野崎が上総を見初めたエピソード等へのリクエスト、ほんとうにありがとうございます!
本編以上のベタ甘ですか、良いですね、 『甘い』 は二人の合言葉です!応援ありがとうございます!
えぇえぇ、書きます!!是非 書かせて頂きますとも!
ご意見ご感想お待ちしております☆
(ちょっと手直し;)

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Comments

拍手コメをくださったKさま
最後まで2人の愛を信じてお付き合い頂いてありがとうございました!最後は幸せになれました~☆何とか甘さを感じて頂けたなら嬉しいです^^。また、是非お越しくださいませ!
Posted at 2009.06.24 (00:24) by 冬実 (URL) | [編集]
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