天の川のむこう-53-

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「止めて・・・、くださ・・・」
「本当の理由を言うんだ」
不安でいっぱいになった上総の泣き顔を見下ろしながら、野崎は煮え立つような苛立ちを覚えていた。

できる事なら最後までこんな手段に出ることは避けたかった。
しかしどれだけ言葉を尽くしても結局上総の心は閉じられたまま。
それならいっそ煽るような言葉でたきつけて、上総が勢いに任せて何かを吐露するのではないかと期待してみれば───。
「・・・理由なら・・・」
「嘘をつくんじゃない」
高居を好きになったなどありえない。
『お兄ちゃんは関係ないです。僕は・・・僕が好きなのは聡示さんだけ・・・』
そう言って身を寄せてきたあの日から数えるほどしか経っていないというのに、どうやっても二心を持ってたとは考えられない。

「もう・・・帰りたい・・・んです・・・」
「上総次第だと言ったろう?」
何を言われたのか正直に言ってくれれば済むものを、どうしてそこまで隠し通そうとするのか。
絶対に、あの忌々しい高居が何かを吹き込んだからに違いない。
上総にここまで言わせている高居という男に、野崎は今更ながらに得たいの知れないものを感じていた。
「明日は・・・観測に・・・」
「明日・・・?」
高居とのあの約束・・・?
「だから・・・もう・・・」
「今週末はここへ来る約束だ。勝手に予定を変えるんじゃない」
高居と二人きりでなんて行かせるわけがないだろう。
このタイミングで上総を側に置いていて、あの高居が手を出さないわけが無い。
「そんなっ・・・だって、僕たちは・・・」
上総の顔がくしゃりと歪んだ。
「本当の理由を聞くまでは絶対に終らせない」
震える視線で野崎を見つめて、上総はぽつりと答えた。
「理由・・・は・・・」
「嘘は許さないと言った」
ぴしゃりと言い切られた上総は唇をかみ締めて、それでも弱々しく首を振った。
「嘘じゃ・・・・・・」

どうしてなんだ・・・上総・・・。

もう野崎の我慢も限界だった。
これ以上言葉も心も通じ合わないなら、その体に聞いてみるまで。

「そんなに高居に抱かれたい?」
「ぇっ・・・?」
上総の顔からサッと血の気が引いて、信じられないとでも言いたげに目を見開いて野崎を見上げた。
「高居が好きで僕と別れるんだから驚くことじゃない。観測なんてただの名目だろう?どうせ帰すつもりはないんだ。会えない高居の変わりに抱いてやるよ」
言い終わると同時に、野崎は上総の服を脱がしに掛かった。
「止めてっ・・・くださいっ・・・」
ファスナーに手を掛けた野崎の腕に両手で必死にしがみ付いて上総は力いっぱい押しのけた。
「だったら本当の理由を言うんだ」
「それはっ・・・・・さっき・・・」
「話にならない」
「止め・・・てっ・・・」
纏わりつく上総の手を払い除けながら、野崎はあっという間に上総の下衣を全て剥ぎ取った。
現れた上総のしなやかな下肢が 明るい照明に照らされて、束の間 野崎の目を虜にする。

「高居にこういうことされたい?」
野崎は上総の腿の上に腰を下ろして上総の体の自由を奪いながら、露になった上総の中心に手を絡めた。
上総の心と同じように身を縮めたままのそこへ少しずつ刺激を与え始める。
「止めてっ・・・くださいっ・・・」
必死に身を捩りながら逃れようとする上総の体を力づくで押さえ込みながら野崎は上総の唇を奪った。
「っんっ・・・!」
両手で力いっぱい野崎の胸を押し退けようとする上総の両手首を掴んで顔の横に縫いとめる。
上総は何度も顔を左右に振りながら野崎の唇から逃げ回った。

「もう僕とは・・・キスするのもイヤ・・・?」
野崎は唇を少しだけ離して上総の目を覗き込んだ。
ひどく苦しそうな顔をした上総は弱々しい涙目のまま、一瞬だけ野崎と目を合わせて顔を背けた。
「もう・・・帰して・・・くださ、い・・・」
半分閉じかけた瞼の隅から、涙が一筋こぼれていく。
「帰さないと言ったろう?」
「本当にっ・・・、帰らないとっ・・・いけないん、です・・・!」
縫いとめられた腕を懸命に引き戻しながら、上総は必死の形相で訴えた。
「できない」
「約束がっ・・・絶対に・・・行かないとっ・・・!」
乗り上げられて身動きのできない足を捩りながら野崎の体の下から抜け出そうとする上総を、野崎は更に力を込めて制止した。
涙の筋を増やしながら、上総はそれでも必死に逃げようともがき続ける。
「そんなに高居の方がいい?」
「お願いっ・・・!・・・僕の、せいでっ・・・お兄ちゃんがっ・・・!」
「・・・上総の所為?何の事だ・・・」
ハッとした上総は一瞬だけ目を見開いてぎゅっと唇をかみ締めて黙り込んだ。
抵抗を続けていた体の動きがぴたりと止んで、まるで人形のように大人しくなる。
「話すんだ、何が上総の所為?」
顔を背けた上総は、また沈黙を始めてしまった。

「・・・上総がそのつもりなら仕方がない」

野崎は体をずらして上総の中心を口に含んだ。
「ぇっ・・・?!ゃっ・・・!やだっ・・・!離しっ、止めてっ・・・!」
口淫に免疫の少ない上総はすぐに暴れだして、野崎の頭を引き剥がそうと髪の毛に掴みかかった。
その手を跳ねる腰と一緒にぐっと押さえ込んで、野崎は構わず舌を絡める。
「ヤダっ・・・!離しっ・・・!イヤっお願っ・・・」
少しだけ硬さを増した上総の中心に横から舌を巻きつけて、やんわりと唇で挟み込んで上下に顔を動かしていく。
時折吸い上げながら舌全体で根元から先端までを舐め上げていると、少しずつ上総の声に色が混じり始めた。
「ねがっ・・・んっ・・・ゃぁっ・・・なしてっ・・・ぁっ!」
不本意ながらも蕩け始めた体を自覚した上総は、隠すようにピローに顔を押し付けた。
上総の体の力が徐々に抜け始めたのを確認して、野崎は太腿の付け根や茂みの周りにも吸い付きながら刺激を与えた。
そのたびにピクッと所在無げに揺れる上総の愛らしいものが、野崎の野生の本能に火をつける。
双珠の片方を口に含みながら震える茎に手を掛けて、裏側の敏感な皮膚をゆるゆると刺激すると、上総の太腿が野崎の顔をきゅぅっと挟み込んだ。
「ぁぁっ、ゃっ・・・めっ・・・ダめっ・・・ゃっ・・・!」
もう十分にそこが膨らんだのを確認して、野崎は体を起こした。
「ダメじゃないだろう?」
もう1つのピローを手繰り寄せて上総の腰の下へ潜り込ませると、野崎はローションを手に取った。
完全に高められて観念してしまったのか上総は腕の拘束を解かれても暴れようとはしない。
上総の膝裏を持ち上げて大きく割らせながら、野崎はぬめる指先で上総の窄まりをぎゅぅと押し込めた。
「ンんぅっ!」
堅く閉じられたままのそこへいきなり大きな力を加えられて、上総は苦しそうに眉を寄せて背をしならせた。
辛そうな上総の反応を目の端で追いながらも、野崎は早くも指先を中へと忍ばせた。
「・・・今日は優しくできそうもない」
一切のものの侵入を拒むかのようにきつく閉じられたそこへ、野崎は容赦なく指を潜り込ませてぬめりを送り続けた。
野崎の指が差し入れられるたびに 『ぅうっ』 と声を籠もらせる上総は、両手でピローの端を握り締めてただひたすら苦しみに耐えていた。
何とか指が上総の中で滑らかな動きをするようになっても、入り口は頑なに閉じられたままだった。
「いつもより・・・ 痛いかな・・・」
そう言って、野崎は湿らせた2本目の指を添えて襞を掻き分けながら中まで押し込んだ。
「ィッ・・・たぃっっ・・・!」
声を引きつらせた上総は、頭を振りながら痛みを訴えた。
入り口を無理に押し広げられる裂けるような鋭い痛みに耐えかねて、上総の眦から涙がこぼれていく。
「力を抜くんだ、上総」
潜り込ませた指に感じるキツイ締め付けがかなりのもので、上総がその身に感じている痛みが予想以上に辛い事が野崎にも見て取れた。
少しでも痛みを和らげようと2本の指を抜き差ししながら、野崎はたっぷりとぬめりを送り続ける。
「上総、力を・・・」
割り広げられる痛みを必死にやり過ごそうとしている上総は、野崎の声など聞こえないようにただひたすら頭を振って耐えている。
「・・・仕方ない」
野崎は指を引き抜いて、上総の腰を持ち上げた。
もうすっかり猛っていた自身にもぬめりを加えて、いつもより抵抗の大きい上総の窄まりへ侵入した。
「ィッ・・・ャアッ!!」
バサッとベッドに両腕を叩き付けて、上総はシーツを握り締めた。
驚きでカッと見開かれた上総の目は直ぐに閉じられて、唇をぎゅっとかみ締めながら顔を背ける。
括れまでを挿入させるのにも時間が掛かり、長引く痛みに上総の顔が引きつった。
「もう・・・少し・・・」
強い締め付けに野崎も眉をひそめながら、じりじりとねじ込むように最奥まで到達した。
狭い中の粘膜と入り口にぴっちりと締め付けられる感覚は、硬さを増した野崎自身へも大きな苦痛をもたらした。
「動くよ」
痛みを感じるなら 一緒に・・・。
いつまでも・・・一人で苦しむんじゃない、上総・・・。
「力を抜いて」
そんな事を言ったところで今の上総には無理だとは思いながらも、
快感を追い始める前の理性の残っている時に一言だけ・・・ そんな気持ちで野崎は静かに告げた。

やはり上総は・・・ 何の反応もしない。
ただ辛そうに顔を歪めてピローに押し付けていた。

野崎は一度大きく息を吐いてゆっくりと腰を動かし始めた。
差し入れる際に入り口に拒まれる感覚が頑なに閉じられた上総の心を思わせて、繋がった部分にも心の底にもチリチリと痛みが走った。
「っくうぅっ・・・んぅっ・・・」
野崎を受けいてれている上総の表情も硬く辛そうに強張ったままで、蕩けるような甘い交わりとはほど遠い。
これでいい・・・。
何としても明日は、高居の元へ行かせる訳にはいかない。

野崎はローションを手に取って力を失くしていた上総の中心を包み込んだ。
ぬるぬると全体にぬめりを塗り広げながら滑りの良くなったそこをゆっくりと扱き始める。
手の中の茎が少しだけ張りを取り戻して、小さな窄まりが僅かに綻んだ。
「上総・・・」
今夜はとても辛いけど・・・我慢して・・・・・・。
野崎は一気に抽挿を早めた。
良く知った上総のポイントを何度も擦り上げながら、腰を回すようにして中をかき混ぜて揺さぶり続ける。
決して解れきってはいないそこから受ける刺激は、互いの体に気の遠くなるような痛みを伴った。
「っツうっ・・・・・・っぐぅっ・・・・・・んうーっ・・・・・・ンんぅ」
唇を結んだままの上総からは、息を殺して痛みに耐える呻きのような声が微かに聞こえる。
目尻からはまた新しい涙がこぼれ始めた。
「上総っ・・・」
それでも野崎は上総の腰をしっかりと掴んで揺さぶり続け、起ち上がっている中心に手を絡めながら強引に極みを促した。
最期の時を迎えるべく快感を得ることに集中して腰を早く深く打ちつける。
「ぐぅんっ・・・ぅうぁーっ・・・ツぅっ・・・」
野崎を受け入れながらも中途半端にしか高まらない上総の体は、押し広げられる痛みを忘れ去ってはくれなかった。
それでも執拗に激しく揺さぶられ続けているうちに、途方も無く重い苦しさと痛みが蓄積して、上総は意識を手放そうとしていた。
「・・・イクよっ」
野崎の腰の動きが力強くなってその中心に急速に熱が集まってきた頃、手の中の上総がビクビクと小さく爆ぜてわずかに熱を放出した。
「っク・・・」
それを見届けた野崎はいっそう深い突き上げを繰り返して、やがて上総の最奥に高まりの証を注ぎ込んだ。

力任せに到達した極みは、もの寂しいだけの空っぽの世界だった。

荒い息を繰り返しながら体の結合を解いて小さな体を見下ろすと・・・上総は目を閉じたまま気を失っている。

「おやすみ上総・・・ 起きたら シャワーに入れてあげる から・・・」
今夜だけは許して欲しい・・・
上総の乱れた髪を梳きながら、野崎は苦く重苦しい余韻をかみ締めた。
シャツを脱がせて楽にさせたあと ケットを胸まで引き上げて、重い足取りでバスルームへ向かった。


熱い飛沫を受けながら、野崎は頻りに考えを巡らせた。
・・・上総は口を開かなかった。
これでは、明日になっても満足のいく返事が聞けるとは思えない。
藤堂へ指示した件もこれといった報告は無くて、事態は暗礁に乗り上げたまま。
足止めのつもりで手酷く抱いてしまったけれど・・・、まさかこれをずっと繰り返している訳にもいかない。
「どうしてなんだ・・・」
体に得た痛みは、相当なものだったはずなのに・・・。
そこまで口を閉ざしてまでも為さなければならない何かがあるのか?
何が、そこまで上総を縛り付けているのか・・・。
後味の悪さを滲ませた嫌な溜め息をつきながら、野崎はバスルームを後にした。

良い情報が入っているとは思えないが・・・。
濡れた髪を拭きながら、野崎は携帯を手にして藤堂の番号を呼び出した。
明日の予定を考えると高居が新しい動きを見せている可能性はある。
寝室へ踏み入れながら通話ボタンを押そうとした時だった。

「居な・・・い・・・?」
上総の体を包んでいたはずのケットが折り下げられて、人型の皺だけが残されている。
脇のソファーへ掛けておいた上総の服は全て無くなっていた。
「まさかっ・・・あの状態でっ・・・!」
慌てて確認した玄関には靴も無い。
野崎は急いで服を着て部屋を飛び出した。
目を覚ましたからと言って、あんな状態で一体どこまで一人で歩いて行けるだろうか。
起きたらシャワーを浴びさせるつもりで、体も汚したままだった。
上総が辿ったはずの地下鉄の駅までの道程を走りながら、道路脇に隈なく目を遣って、野崎は必死にその姿を探した。
けれど、その道程にも走り着いた駅にも、上総の姿は見当たらなかった。
もう、電車に乗ってしまったのか・・・?

「いくらなんでも無理だろう 上総・・・」
小さな体が痛みに耐えて歩く姿が脳裏をよぎる。
「なんでそこまで・・・」
上総の意図が掴めない苛立ちと酷い罪悪感に苛まれながら、野崎はマンションまでの道程を引き返して行った。

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