星空に触れて-17-

「うーん。どうしようかなぁ・・・」
ハンサムさんは上総から渡されたメニューを手に取ると、最初のページからパラパラと捲りながら、
いかにも芝居掛かった感じで『うーん、うーん』と繰り返している。
明らかに嘘っぽい仕草に、内心そんなはずは無いと確信している上総は聞いてみた。

「迷って、いませんよね?」
少し腰をかがめながら、上総はハンサムさんの顔を覗き込むようにしてみせた。

「そう思う?」
メニューを見たままで、ハンサムさんが返事をする。
その声は優しくて、語尾の方はなんだか笑っているような気配がした。

「だって、ハンサムさん笑ってませんか?」
上総も小さく笑って、さらにハンサムさんの顔を覗こうとしてみた。
するとハンサムさんがゆっくりと顔を上げて、無邪気な笑顔を向けたままの上総の視線を捉える。

「どうだろう。でも───、あっさり決めてしまうのは、惜しい気がする、かな・・・」
そういうと、ハンサムさんは捉えた視線はそのままに、ふと左手を上げたかと思うと
上総の右耳の後ろに掛かっている髪を、指先で一筋すくい上げた。

えっ・・・

あまりに突然のことで何をされたのか分からずに、上総はただ黙って、ハンサムさんの左指が自分の髪を梳いている感触を追っていた。
店の中の一切の音が遮断されてしまったかのように、頭の中がぴたりと静まり返っている。

髪、触ってる、よね・・・?

突然のことで、声を出す事ができずにいる上総をよそに、ハンサムさんの左手の指先が、スーッと戯れのように耳の輪郭をなぞった。

なに、これっ───。

くすぐったいような、何かが背筋を這い上がってくるような、説明の付かない感覚に、上総は思わずぎゅっと目を瞑った。

「柔らかい・・・」
ハンサムさんは男っぽい声でやんわり告げると、上総の耳に添えていた指先をゆっくりと戻していった。

どう、しよう・・・・・・、どうして・・・。

一瞬の出来事なのか、もしかしたらもう何時間も経ってしまったのか。
時間の感覚までおぼろげになった上総は、おずおずと 閉じていた目を開いた。

気がつくと、
ハンサムさんの視線はまだ上総を捉えていて、何を思っているのか分からない、深い色合いを見せていた。


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Posted at 2009.05.24 (11:58) by () | [編集]
>秘コメのMさま
おぉ!コメントありがとうございます☆
> 一歩間違えたらかなり危ない行動!
公の場であろうが、上総の魅力に取り付かれた野崎にはノープロブレムw
>ああ、いたいけな青少年がおとされていく…。ドキドキ
あぁ・・・ いたいけな上総は野崎の野望にいつ気づくのか…。ドキドキ
Posted at 2009.05.24 (13:34) by 冬実 (URL) | [編集]
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