天の川のむこう-11-

フロートへ着くまで、上総はずっと高居のことを考えていた。
『もう一度ちゃんと話がしたかったんだ。ずっと・・・探してた』
そう、言っていた。
どうして今頃・・・・・・。


それは、上総が15歳の誕生日を一ヵ月後に控えていた時のこと。

『100年に一度?』
『そうだよ。ここまで活発に活動するのが観測されたのは、一番最近でも100年以上前なんだ』
『すごいね・・・・・・』
『この流星群はね、前回は7月に入ってからが見ごろだったんだって。でも今年はもっと早く流れ始めるんだ。それも、すごく珍しいことなんだよ』

その頃、6月に大規模な流星群がやってくることがニュースでも話題になっていた。
上総はいつものように高居のところへ遊びに行って、そのことを一番に教えてもらおうと楽しみにしていた。

『目でも見えるかな?』
『見る場所と時間さえ合っていれば、誰にでも見えるよ。大きな流れ星が何度も続けて降ってくるんだ・・・』
情緒感たっぷりに話をする高居につられて、上総の目はキラキラと輝いた。
『楽しみだなぁ・・・・・』
お気に入りの写真集を見せてもらいながら、そこに写っている別の流星群の観測写真に目をやった。
『そうだ、カズの誕生日に見られるかもしれないよ』
『誕生日に?』
『6月22日なら・・・うん、大丈夫。予報どおりなら、山の上公園から東側の空に見えると思う』
『山の上公園かぁ・・・ちょっと遠いな。でも絶対きれいだよね・・・・・・』
その日の夜空を想像して、上総は早くも興奮状態だった。
『何時ごろ見られるの?』
『一番きれなのは、多分夜の9時くらいだと思うよ』
『9時・・・。公園に行くなら8時には家を出ないと、無理だよね・・・・・・』
見終わって家へ帰ってくるのは11時を過ぎてしまう。
上総の両親がそれを許してくれるとは思えなかった。

『連れてってあげるよ。誕生日プレゼントに』
上総の様子に気づいた高居が頭にポンと手を載せてきて、いつもするようににっこりと微笑み掛けてきた。
『いいのっ?』
嬉しさのあまり、上総は高居の腕をつかんで立ち上がった。
『僕が一緒なら、家の人も許してくれると思うよ』
『うん、行く!』
上総はありったけの笑顔を見せて返事をした。
『そうしよう。カズと一緒ならきっと楽しいと思うから』

そうして二人は、上総の15歳の誕生日に流星群の観測に行くことを約束した。
高居が一緒に話をつけてくれて、深夜に及ぶ外出さえも両親は快諾してくれた。

誕生日の前日に高居の部屋へ遊びに行ったとき、二人は隣の駅で夜8時半に待ち合わせをすることを決めた。
翌日の誕生日には小高い丘の上にあるその公園で、100年に一度の体験が・・・できるはずだった。

見たかった、な・・・。

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