星空に触れて-14-

男前が良いって、マスターは言ったよなぁ。
確かに、男らしいし、キリリとしていて・・・。
上総はその人にふさわしい一つを探り当てようと考え始めた。

「ほう、こうやって出来上がっていくんですねぇ」
ポールさんが上総に気を使ったのか、小さい声で遠慮がちにつぶやいた。

「お二人は、どんなあだ名をお持ちなんですか?」
その人もポールさんに習って、控えめの声で話しかける。

「わたしはね、ほら、見ての通り。ハンチング帽をかぶっているから『ハンチングさん』です」
ハンチングさんも小声で応えて、帽子のつばをちょっと上げてみせた。

「僭越ながら、わたくしは『ポールさん』ですよ。私はこの格好が気に入っているのですが、これを槙村君が『英国紳士みたいですから』って言ってくれましてね」
ポールさんは目じりをいっそう下げて、笑顔で応じた。

「ハンチングさんに、ポールさん、ですか。いや、槙村君らしいですね。楽しみだ」
三人はクスクスと笑いあって、カウンターの二人に視線を戻した。

「日本語がいいですかね、カタカナにしようかな・・・」
いつものように上総がカードに向かったままぶつぶつといい始めると、黒田もいつものようによそを向いて応じてくれる。

「カタカナねぇ。薄っぺらいのはちょっとなぁ・・・」
「そうですよね。キリリっていうのがミソだと思うんだけどなぁ・・・」
「キリリか。男にはキレが大事だからなぁ」
「そういえばマスターも、キレがありますよね。あ、でもマスターとも違うんですよ。でもキリリ・・・。うーん・・・」
「そりゃ俺とじゃ歳がだいぶなぁ」
「でもマスターはカッコいいですからね。ばしっとキレがあります」
「そいつぁ嬉しいなぁ」
「今度マスターのも考えてみようかなぁ」
「俺ぁ『マスター』が気に入ってんのさ」
「もうひとつくらい、あってもいいじゃないですか」
「そりゃぁ、男張りのするのをお願いしたいね」
「じゃぁ、今度考えておきますね」

そんなやり取りをしばらくしていると、
「できました!ちょっと安直ですけど」
といって、上総が照れたように顔を上げた。

「おぅ、できたかい」
黒田がニヤリ、といつもの笑顔をする。

「なんか直球過ぎるかと思ったんですけど、思いつかなくて」
そういいながら、黒田が上総のほうに手を差し出した。

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