天の川のむこう-3-

ヘンな体勢で眠ってしまっていた上総は背中の痛みで目が覚めた。
もう9時を過ぎていて、慌てて部屋を見渡してみても野崎が帰ってきた気配は無かった。
(やっぱり遅くなるんだ・・・)
上総は小さく溜め息をついた。
実際にこういう状況になってみないと、それがどういうことなのか自覚出来なかった自分につくづく嫌気がさした。

『来てくれても結局これじゃ逢えず終いなんじゃない?』
野崎の言うとおりだった。
大学が終わって夜8時までバイトをしている上総はそれ以降しか時間がない。
それでも日付が変わらない家に着きたいと言っているのだから、残る時間はほんの数時間だった。
この時間に帰れない今の野崎の状況を考えると、平日に逢えるかどうかは怪しくなる。
週末に泊まりにくることも拒否していおて、それでは野崎の時間が空いていてもゆっくり逢えるわけがなかった。
(僕バカなのかも・・・)
上総はこれまでの生活を変えていく必要があることをようやく実感していた。

これからの先の事はじっくりと考えるにしても、今日どうするか。
この分では日付が変わってから帰ってくるのかもしれない。
(泊まるしか、ないのかな・・・)
いつ帰るか分からない野崎に今日逢える可能性を考えると、泊まって待っているのがやはり一番だった。
何事も無ければ明日の土曜は野崎は完全に休日なのだし、バイトまでは一緒に居られることになる。

上総は携帯を手にとって、自宅の番号を呼び出した。
(外泊か・・・・)
自分の都合で外泊するのはこれが初めてで、これから祖父母に話をすると思うとズンと重い罪悪感を感じた。
普通に話しができるか、どんな反応をされるか、考えていると何だか緊張してきて手に汗が滲む。
少なくとも心配性の祖母はあまり快く思わない気がして、上総は祖父に話をすることにした。
『もしもしお爺ちゃん?今日ね、先輩のところに泊まろうと思うんだけど』
勢いをつけて最後まで一気に告げた。
電話の向こうでは、やはり祖母と会話をしている様子が伝わってくる。
『そうか。お前にも付き合いはあるだろう・・・。明日には帰るのか?』
何か言われるのではないかと思っていた上総は、すんなり了承した祖父に拍子抜けになった。
『えっ・・・?あぁ・・・そのままバイトに行くから、夜になるけど・・・』
『分かった。あんまり迷惑はかけるなよ』
最後は祖父の方からあっさり切られた。
(なんだよ・・・・・)
あまりにあっけない終わり方でまた拍子抜けになる。
拘っていたのは自分だけだったのかと思うと、何だか損した気分になった。

それでもとりあえず、今日は外泊の許可を取り付けた。
このまま泊まって野崎を待つことはできる。
(シャワーでも浴びようかな)
慣れない1日を過ごしたせいで、いつもよりも疲れた感じがする。
上総はバスルームへ向かってシャワーで汗を流した。


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