星空に触れて-13-

「そうですね、きっと、カッコいいのがお似合いですね!」
上総は黒田がその人のことを認めてくれたような気がして、なぜだかそれが自分のことのように嬉しく思えて、思わず嬉々としてカードを受け取った。

やった!
上総は心の中で声を上げてガッツポーズを決めた。

「決まり!いやぁ、名札が出来るところ、実は初めて見るんですよ」
ハンチングさんも興味津々で、カウンターの二人に目を向けた。

「えぇ、えぇ。楽しみですねぇ。どんなお名前が付くんでしょうねぇ」
ポールさんも浮き足立ったように、声が弾んでいる。

「こんな新参者に頂けるんですか?」
言葉とは対照的に、まんざらでもなさそうな顔をしてその人は黒田を見る。

「いえね、こちらの遊びのようなもんですから。時間の長い短いもないですよ」
黒田が笑って応える。

カウンターでのやり取りが漏れ聞こえていたのか、他の客の視線が徐々に集まるのが分かった。
一部では、名札をもらおうと画策している人も居るとか居ないとか。
本物の味が分かるマスターのお墨付き、とまで崇められているのだから仕方がない。

カウンターの五人を囲むようにして広がっていく羨望のまなざしの輪は、やがて店じゅうに伝わってしまった。
そしてしばらくすると、店のあちらこちらから『名札、名札』という言葉が聞こえてきて、それは徐々にカウンターへも伝わってくる。

直視する者こそいないけれど、明らかに客の意識はこちらへ向かっているのが分かった。
これから起こることの一部始終を見逃すまいと、ちらり、ちらりとこちらを向く顔が、上総の視界に否応なしに入ってくる。

「えぇと・・・」
ついに、上総はその雰囲気に落ち着かなくなり、隣の黒田を見上げた。
すると、
「気にしなさんな。ただの遊びさ」
黒田が余裕たっぷりの表情を返してくれるので、上総は少しだけ気分が楽になった気がした。

「そうですよね。じゃぁ・・・」
気を取り直して、上総はいつものようにペンを取った。

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