星空に触れて-115-

「できそう?」
上総は話し終えて、祖父と祖母の反応を見た。
「話をするのは何とかなるだろうさ。なぁ?」
祖父が祖母に目をやる。
「えぇ。かずちゃんの言うとおりなら、話をするのはできそうですけど・・・」

やっぱり・・・。
問題はボイスレコーダーの取り扱い。

「話をするのは、できそうなんだね?」
「あぁ、問題ないだろう。一度は諦めたんだ。今更あいつらに驚きはしないさ」
祖父はしっかりと頷いた。
「そうですね」
祖父の言葉に祖母も優しい顔でゆったりと頷いた。
「良かった。安心したよ」
上総は一度深呼吸した。

「それでね。前に話してあったとおり、明日、午後から面接なんだけど・・・。一番早ければ、明日、僕が居ない間に来るかもしれない」
その言葉に、祖父と祖母は上総に向き直った。
「明日・・・」
祖父は少しだけ険しい顔になる。
「もし明日来たら・・・やってくれる?」

本当は・・・明日、来るんだよ

祖父は黙ったままだ。
「いつやってきても同じですよ。ね、お爺さん?」
祖母がふっきれたような顔をして祖父の手に手を重ねた。
祖父は重ねられた祖母の手をじっと見た。
「そうだな・・・。明日来ようが来年来ようが、おんなじだな」
祖父も、今度こそはふっきれた様子だ。

上総も内心ほっとした。
でもこれで終わりじゃない。
「これ、置いていくから。今日、使ってみてくれる?録音したものはすぐに消せるから、できるだけ沢山使ってみて慣れて欲しいんだ」

一通りの使い方は説明したけれど、時田の前でとっさに使えるかどうかは分らない。
ここは祖父と祖母に掛けるしかない。
「うーん」
祖父がゆっくりとボイスレコーダーを手に取った。
それを隣から祖母が覗き込む。

「じゃぁ・・・。僕、大学行くね。本当に、大丈夫?」
バックを取って玄関まで向かいながら、付いてきた祖父と祖母に声を掛ける。
「心配するな。何とかなるだろう。お前は心配性なんだ」
そういって、祖父は頷いてくれた。
「ありがとう。じゃ、行ってきます」

いつものように玄関を出て、駅に向かった。
藤堂との打ち合わせどおり、話すことは話した。
あとは、二人がやってくれるのを信じるしかない。
ポケットから携帯を取り出して、野崎のメールを表示させる。

聡示さん・・・
大丈夫、だよね

一度大きく深呼吸して、上総は駅へと急いだ。

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