星空に触れて-105-

一時間ほど、その計画についての話し合いがされた。
上総は、忘れないように注意深く話しを聞いた。
祖父母の行動パターンを思い出して、藤堂の申し出が可能かどうかを細かく判断していった。
判断に迷うところは積極的に言葉にして、1つの不安も残らないように藤堂と相談した。

「・・・では、いま話した手順でお願いします」
最後に藤堂が締めくくる。
「分かりました。やります」
そう答えて、上総は大きく深呼吸した。
知らずに身体を強張らせていたのか、深呼吸すると同時に力が抜けてしまった。

「少し休憩しよう」
上総の反応を見たのか、真島が区切りをつけた。
「ちょっとお手洗いに」
そう言って甲斐が部屋を出る。
「私も、少し外の空気を吸ってきます」
藤堂が続いて席を立った。
水元と真島は目の前に散らばった資料をいくつか手にとって、何やら難しい話しを始めている。

「大丈夫かい?」
野崎が気遣わしげに聞いてくる。
「大丈夫です。自分にできることがあるのが、嬉しいです」
そういって上総は笑顔を返した。
「そう。ありがとう」
野崎は上総をくるむような眼差しで礼を言う。

聡示さんがお礼を言うことなんてないのに・・・。

「あの・・・」
「なに?」
「模型、見せてもらってもいいですか?」

部屋が明るくなった時から、ずっと気になっていた。
奥のデスク脇で、今も白く輝く夢の塊。

「いいよ、どうぞ」
野崎は一段と柔らかい声で言って、上総を連れ立って奥のデスクまで歩いた。
野崎と上総は少しだけ距離を取って模型の前に並ぶ。

もう一度見たかった。
自分勝手な思い込みで一人泣き濡れる夜を過ごしていた時、何度となく思い出した。
最初に見たあの時は、きらきらと輝くこの模型にどこまでも心が高鳴って・・・
そしてそのまま墜落するように沈み込んで行った。

野崎がこれを見せてくれた気持ちを思うと、心の芯がほんわりと温かくなって、少し締め付けられる。
嬉しくて、嬉しくて、愛しくて、せつない。

聡示さん・・・
上総は 湧き上がる想いをすぐにでも届けたい、その人を見上げた。

目次へ...

Leave a comment

Private :

Comments

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
12 02