星空に触れて-101-

真島と向かい合わせに野崎と上総は並んで座った。

「そういえば・・・」
上総が小さく言うと、野崎と真島が揃って目を向けた。
「どうした?」
野崎が上総の肩に腕を回しながら優しく聞いてくる。
「すみませんでした・・・。あの、昼間・・・、まだ逢っちゃいけないって…」
申し訳なさそうにうな垂れる上総に、真島はあっけらかんと言った。
「あ、全部聡示のせいだから気にしないで。それに今日は来てもらう必要があったし。
 あ、もう昨日か」
そう言って真島は手元の資料をガサガサと探り出した。

良く意味が分からなくて、上総は野崎を見上げる。

「上総が気に病むことは無いってことだよ。」
上総を安心させるように、野崎は回した手のひらで細い肩をそっと撫でた。
「全部お前のせいだって言ったんだ」
ずけずけと言い放ってはいるものの、真島の言葉には少しもトゲを感じない。
「ほらね?上総は何も悪くないんだ」
野崎もサラっと受け流して、相も変わらず上総に慈しむような笑みを向けてくる。
「そう・・・なんですか・・・」
あまり釈然とはしないものの、この二人がそう言うのならこれ以上は何も言わず、気にしないでいるのが一番良いような気がした。


「それで、本題なんだけど・・・」
山ほどの資料の中からいくつか手元に集めた真島が、口火を切った。

「話しておいたほうが良いと思って。時田のこと」
真島が時田の名前を口にした瞬間、上総の身体がビクリと反応した。
すかさず、上総の肩を抱く野崎の手のひらに力が込められる。

『大丈夫』 野崎は強い眼差しで見つめ返して、頷いてくれた。
上総も頷いて返して、また真島に向き直る。

「時田のことを『悪いヤツだ』って言ったのは分かり易く説明するためなんだ。実際にヤツがやってきた事は、詐欺・恐喝・横領・公文書偽造・インサイダー取引と、まぁ、いろいろあるんだけど・・・」
そういいながら、真島は資料の中から写真を1つ見せてきた。
「これ、時田ね」

上総は、初めて見る時田の顔をまじまじと見た。
祖父母を苦しめたその男は、どちらかと言うと精悍な顔立ちをしていた。

この人が…。
祖母の足元に巻かれた真っ白な包帯を思い出す。

その写真の時田は、気のせいか、目元が少し野崎に似ているような気がした。
上総の心の奥が少しだけざわついた。

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