星空に触れて-100-

「ほらね?居たでしょう?」
クスリと笑って、野崎は上総に微笑んだ。
「えっ?!ぁ!」
上総はハッと我に返った。
まだ野崎の腕の中にいたことを思い出して、慌てて身じろぐ。
確かに真島は野崎と自分の関係を知っている様子だったけれど、
だからって、こういう場面を見られるのは、あまりも恥ずかしい。

「あのっ、聡示さんっ・・・!」
上総は肩に回されていた野崎の腕を、スポッと潜り抜けた。
頬に添えられていた右手を 静かに外させて、半身だけ 野崎の後ろに隠れるように 回り込んだ。

「うん。その判断は正しい。誰が見てようと、こいつの方から離れることはまず無いからね。君は良識のある大人になりそうだ」
そういうと、真島は大股で応接セットまで歩いてきて、ドサっと音を立てて資料を机にばら撒いた。

「会うの2回目だね、槙村上総君。真島裕紀です、よろしく」
そう言って、真島は爽やかな笑顔をして右手を差し出した。
「裕紀(ひろき)さんって呼んでも良いからね」
格好が良いい人はとどんなに着崩れていても格好が良いんだと、妙な関心をしながら上総も右手を差し出した。
「えと・・・よろしくお願いします」
「『上総』って、カッコいいよね。男らしくて好きだな」
きれいな顔立ちを間近で見せられて、上総は訳も無くドキドキ した。
「ぁ、ありがとう、ございます」
二人が握手を交わしているところへ、野崎の腕が 脇からついっと伸びてくる。

「もういいよね?」
上総に向かってそう言うと、野崎は組み合わされた二人の手をぐいっと引き離した。
「握手くらい、いいだろう?」
真島が不満を言う。
「減る」
「ケチ」
「上等だ」
ぽんぽんと軽く交わしながら、野崎は上総を自分の後ろへ隠すように移動させた。

「あの・・・、お友達なんですよね?」
自分と話をする時とは違う雰囲気がとても新鮮に感じて、上総は野崎を見上げた。
「そう。18年のながーいお友達で、同じ会社で働いてる同僚なんだ」
真島が野崎の後ろを覗き込むようにして答えた。
「お前には聞いてないだろう」
野崎があからさまに嫌そうな顔をする。
「シュガーちゃんとは握手するほどの仲なんだ。俺が答えてもいいじゃないか」
飄々と答えながら、真島はソファーへ移動した。

「ま、座れって」
野崎に向かって乱雑に言うと、
「あ、上総君もどうぞ」
今度は爽やかな笑顔を向けて、上総を促した。

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